Xoxoani Lixolelane
ジンバブエ出身の11人のアカペラグループ、ブラック・ウムフォロセィ(Black Umfolosi)。
初めて聴いたのは彼らが世界ツアーの一環でイギリスのUWCでの公演に来たとき。ジンバブエ人の親友、ドンからアカペラグループとしか聞いておらず、前知識の全くない状態で聴きに行った。キャンパス内にあるアート・センターの小さな会場最前列に座って開演を待つ。メンバーがステージに登場し、最初の曲を歌い始めた。
まさにその瞬間、何かがズキューンと僕の体を貫いた。全員のボーカルが桁違いに上手かったこともあるけど、それ以外のもっと大きくて深い何かに冒頭から自分の体が反応した。その30秒後くらいには堪えきれずに号泣していた。泣いていては聴けないからちゃんと聴こうとするのだけど、しっかり聴こうとすればするほど涙が溢れてきてどうしようもなかった。結局公演の後半くらいまでずっと泣いていた。今思い返してもなぜあそこまで感情が高ぶってしまったのかはっきりとは分からないのだけど、一つ言えるのは彼らの歌にものすごい「文化力」のようなものを感じたことだ。
ほとんどの曲がンデベレ語で唱われていて、そのンデベレ語にはアジアや欧米には存在しない音がある。ンデベレ語はジンバブエや南アフリカの公用語の一つ。もともと文字が無いので記述に使われるのは英語のアルファベットなんだけど、この音の子音はX。Xの子音は中国語にもあるけど、アフリカ言語でのxの発音は中国語のそれとは全く異なる。日本語の擬音ではどうしても正確に表現できないけど強いて書くとすればXaはツグァッといった感じ。この「グ」の部分は舌を弾いて出るような音。この、まるでリズムを奏でるような音が歌詞の随所に出てきて、内容が分からない分歌を音として聴いていた自分にとって、歌全体をとても不思議に聴こえさせた。これは西洋音楽には決して真似の出来ないユニークな音楽性であり、更にすごいのがそれが意識的に達成されたことではなくて、自然に出来上がっていった土着の言語の性質によること。
彼らの歌を最初に生で聴けたのは大変幸運だったと思う。
この公演を観て改めて色々なことに感謝した。
UWCに行けたこと。自分を選んでくれた試験管。
そこでドンをはじめとする友人に出会えたこと。
Black Umfolosiの世界公演を可能としてる現代の技術。
紛争は絶えないにしろどこにでも渡航できる環境。
建前だろうが偽善だろうが争いを無くすため活動をしてる人たち。
オーバーだと思うかも知れないけど、基本的にその経験を自分がするに至るためのありとあらゆる要素に感謝した。
そして今、このとき買った彼らの七枚目のアルバム、Xoxoani Lixolelane (one voice)を聴きながらこれを書いてる。
「違う」というのは素晴らしいなとつくづく思う。いや、正確には素晴らしいものに「出来る」かな。


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